IPで地域判定ができるのか、の話

 ラジコの件から、どうしてもそれが気になります。ツイッターではとても書ききれないのでブログネタにします。

 以下に書くことははっきりとした基礎知識に基づく物ではないです。インターネット以前のパソコン通信の時代から20年前後にわたって遊び続けている通信オタクとして自然に覚えたものなので、いまはそうじゃないとか、それ違う、などもたくさんあると思います。

 さらにインターネットの歴史から解説する気はないし、専門的かつ具体的な話を羅列する気もないです。さわりだけを「知ってればお得な雑学」みたいな話で進めます。話が冗長になりそうだけど許してね。それと、大幅に端折ります。正確できちんとした細かい話なし。つまり、突っ込みは無しの方向でお願いします。

 さらにさらに(笑) ツイッターで「サイバーエリアサーチ株式会社」が「ネットユーザーの位置を知るデータベースを商売にしてる」と教えていただきました。ラジコはそれを使ってると。でも、上っ面しか読んでませんけど、我々の業界で古くから使われてる「ゼンリンの住宅地図」と同じように「足で集めた情報(足というのは比喩ね)」を公開された情報にくっつけただけなんじゃないかな。無から有は生まれない。公開されてない情報から個人の特定に繋がる位置情報を特定できるわけはないとしか思えないです。そのサイトに「社長のブログ」てのがあります。それ読むと「アンケート」を実施したりしてるんですね。そこに返ってきたアンケートから「そのIPはどこの地域」とまず把握し、一般に公開されてるISPの情報からそのIPを含む一定の範囲を掴んで「このIPだったらどこそこだろう」としてるんじゃないかしら。あくまでも「推測」ですけど。そしてその社長のブログからリンクがある「IP広場」。そこで自分のIPから位置情報を知ることが出来るとあるんですが、やってみると「私のIPでは位置はでません」。で、「位置が間違ってたり出なかったりした人は修正してね」的なことがでます。そこで正直に正しい位置を入れると、それが相手の今後のIPとの照合情報になっていくんでしょう、きっと。かなりギリギリの怖い商法だと思います。

 もっと書き散らします。

 インターネットって匿名(匿名性)が高い、と一般に言われていますよね。実はそんなことないんです。まあ、「どこの誰」が直接わかるわけではないので、それをさして匿名というならそのとおりなんですが。ネットワークってのは端末(パソコンだと思って下さい)と端末の双方向通信です。端末=パソコン(だけじゃないけど、とりあえずそう思ってね)として、それぞれに名前をつけないとわけわからなくなります。その端末につける名前がIPで、各端末の区別はそれぞれ世界でただ一つになるようにユニークな名前をつける工夫がなされてます。数字を四つの組に分けた、***.***.***.*** というやつです。

 数字だととってもわかりにくいので「ホスト名」というのをIPに関連づけしてあることが多いです。IPからホスト名を調べることを通信用語で「逆引き」と言います。インターネットにアクセスする限り、そのアクセスしているパソコンには必ずIPが割り当てられており、そのIPはしっかりと管理されていて、決してフリーに誰でも好きな物を使えるわけではありません。つまり、IPを使用している端末は必ず特定できることになります。

 もちろん「必ず特定できるが誰でも特定できるわけではない」です。以前はISP側が法律を盾に警察にも言わなかった時代がありますが、いまは捜査に必要な段階で開示してるはずです。つまり、「誰がそのIPを使ってるか」はそれくらい内緒なもの。使用者の位置特定がIPだけでできるわけはないです。そのIPを管理している側の協力がなかったら特定できません。ラジコでいえば「個々のIPの特定ではなく、このいくつからいくつまで範囲のIPはどの都道府県にいる人を対象に貸し出しているIPなのか」くらいまでをISPから情報提供されてる可能性はあるかもしれない。と思ったけど、それはどうもなさそう。ラジコの「お知らせ」に聴取可能地域なのにダメなときは連絡して、とか出てましたから。

 こんがらがりそうなのでしつこく書きますが「いまここにアクセスしてきている端末のIPがわかること」と「そのIPを誰が(あるいはどこで)使っているか」は話が全然別物です。ツイッターで wifi の話が出ましたけど、あれも自動的に位置を把握されてるわけではなく、「把握して表示してね、というアプリを自分の意思で組み込んで使ってる」から表示されているわけです。インターネットでは自ら開示しない限り、巷で言うところの個人情報に属するものが勝手に(強制的に・選択の余地無しに)流れることはありません。

 アクセスしてる端末の「IPやホスト名」は個人情報ではありません。そのデータと個人を結びつける情報がありませんから。

 昔、CGIのアクセスカウンターを作成して配布していた頃のソースを引っ張り出して、アクセス者のIPとホスト名を表示させる数行のCGIを作って置いてみました。ついでにブラウザの情報も表示します。見た目はまったく考えてません。情報をテキストで表示するだけです。類似の物はあちこちにありますが、話のついでに。

 ホスト名 ← ここをクリックするといまこれを読んでる方のIPとホスト名が表示されます。もちろん自分にだけですよ。公開されちゃうわけではありません。これらは怖い物ではありません。個人を特定できる個人情報でもありません。インターネットでどこかにアクセスするときに必ず相手方に示すものです。でないとデータが行き来できませんから。地域名らしき略号が含まれる形式の人もいるでしょうし、そういうものが含まれない形式の人もいるでしょう。ジオターゲティングを使用してみた体感では一日約100人のユニークユーザーの50~70%はわからないタイプ。推測できて振り分けられたのが30~50%でした。

 IPは大きく一塊ずつ国別にわけて割り当て、国内でその中の一塊ずつを企業とか大学とかISP(インターネット・サービス・プロバイダ)に割り当ててあります。

 最初は大学の研究室とか、大企業の研究所とか、そういう場所にある端末しかインターネットできなかったのです。IPを調べれば「どこの団体が使ってる」というのがわかるわけで、それで十分だった。

 ISPが所有しているIPを「使うときだけそのとき空いているIPを契約した会員に貸し出す」形が可能になったのでインターネットが身近になった。我々が普通に使ってるIPの所有者はISPのもの。つまりIPを調べてもISPがわかるだけで、使っている人(端末)の位置はわかりません。

 ケーブルテレビ局がやってるISPとか、地域性の濃い小さなISPなどだと、そこの契約者もその地元ですから、IPが分かればどこの地域というのは類推できるというのは間違いじゃないです。たとえば横浜に「YOUテレビ」なるケーブルテレビ局があり、ISPもやってます。そこのホスト名がどういう形式か知りませんが、IPから調べてYOUテレビだったら「横浜の人だろう」という推測はできることになります。そして、BIGLOBEとかNTT系列のISPのような全国展開している会社だと、IPに対応するホスト名に「地域を表す略号」をつけていることもあります。あくまでも「そういうこともある」程度。私の使ってるISPから割り当てられるIPは地域不明のタイプです。調べるサイトはたくさんあるけど、どこで調べてもいまこの時点で使ってるIPは「長野県、諏訪湖の西の方」が表示されます。

 でもたぶん理屈はどうでもいいんですよ。放送法の枠を乗り越えられる理由がつけられれば何でもよかったんじゃないかな。実際にそうできるかどうか別にして。本当は「全国に流したい」のでしょうし、スタートを切るにはとにかく放送法を持ってこられると越えられなかった壁をなんとかしないと始まらないわけだから。地域限定ってことにしとかないと始まらない。きっと関係者は全部承知の上だと思う。

『IPで地域判定ができるのか、の話』へのコメント

  1. 名前:なかの 投稿日:2010/03/18(木) 21:56:03 ID:2a334e626 返信

    http://wiki.tomocha.net/network_ISP_areasearch.html

    ↑そんなのがありましたので、自己レスで追記しておきます。

    • 名前:なかの 投稿日:2010/03/19(金) 08:15:04 ID:2eda31419 返信

      http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100312_353896.html

      もう一つ見つけましたのでさらに追加しておきます。
      最初からこれ読めば細かな疑問は解消していたというか発生しなかったはず。細かな「なぜ?」はほとんど説明されてます。

      うんうん、とうなずける話が多い。ラジオとしての存在特性とかね。50年間地域に密着してビジネスとして成り立ってたもの(広告ビジネス)を一気に全国となったらビジネスとして成り立つのか。地域に密着したメディアとして、地域型の広告が特色なのに、全国に展開しても意味ないんじゃないか、とか、それらの試行も兼ねての6ヶ月。というのは正論だと思う。